富山・砺波と高岡で出会った、春のごほうび旅
昔、こんな歌がありました。
「ひらけ、ひらけ、パッとひらけ!チューリップ」
そうそう、間寛平さんの歌です。
昭和ど真ん中、軍艦マーチが鳴っていた頃のパチンコ屋さんを思い出す、あのチューリップ。
……ただし、今回おさぴーが会いに行ったのは、パチンコ台のチューリップではありません。
本物です。
それも、これでもかというほど咲き誇る、満開のチューリップです。

向かった先は、富山県砺波市。
一度は見てみたいと思っていた「砺波チューリップ公園」です。
実は、おさぴーのバケットリストの中に、こんな項目がありました。
「砺波のチューリップ公園で、満開のチューリップを見る」
これ、ずっと心の片隅にあったんです。
先日、東京で昔からの学びの仲間たちと会う機会がありました。
普通なら、そのまま東海道新幹線で名古屋へ帰るところです。
でも、ふと思ったんです。
「このまま帰るのも、なんだかもったいないなぁ」
そこで、帰り道を少し変えて、北陸経由にしてみることにしました。
こういう寄り道、いいですね。
予定通りに帰る人生も悪くありませんが、少し遠回りした道の方が、あとで思い出に残ることがあります。
新高岡駅に着くと、地元に住んでいる妹夫婦が迎えに来てくれました。
久しぶりに妹たちに会えたことも、今回の旅のうれしい出来事のひとつです。
そして、案内してもらったチューリップ公園。

いやぁ、すごかった。
目の前に広がるのは、まさに春の色の洪水です。
赤、白、黄色、ピンク。
花壇というより、地面そのものが大きな花束になっているようでした。
青空の下で、チューリップたちが一斉にこちらを向いて咲いている。
その光景を見ていると、こちらの気持ちまで自然に開いていくようです。

花を見るというより、春のエネルギーを全身で浴びている感じ。
これだけの数のチューリップが、これだけ整えられて、しかも満開で迎えてくれる。
これは写真で見るのと、実際にその場に立つのとでは、やはりまったく違います。
写真でもきれいです。
でも、現地では風があります。
花の高さがあります。
人の笑い声があります。
そして何より、「今、ここで咲いている」というライブ感があります。
こればかりは、行ってみないとわかりません。
おさぴー、またひとつバケットリストを達成しました。
小さなことのようで、これがなかなかうれしい。
しかも、今回はこれだけでは終わりませんでした。
せっかく富山まで来たのです。
チューリップだけで帰ってしまうのは、少しもったいない。
前夜、東京で楽しい時間をご一緒した学びの仲間の由美子さんから、こんなメッセージをいただいていました。
「おさぴー、せっかく高岡に行くなら、国宝の瑞龍寺に寄ってみるといいよ」
こういう言葉には、素直に乗った方がいいですね。
旅先でのおすすめは、地図には載っていない“ご縁”みたいなものです。
ということで、高岡の瑞龍寺へ。
瑞龍寺は、加賀藩二代藩主・前田利長公の菩提寺。
江戸初期の禅宗寺院建築として知られ、北陸では数少ない国宝建築のひとつです。
実際に訪れてみると、これがまた、おさぴー好みのお寺でした。
堂々としているのに、威圧感がない。
広々としているのに、どこか静か。
木造建築の持つ落ち着きと、禅寺らしい端正な空気が、とても心地よいのです。
「これは来てよかったなぁ。。」
そう思いながら拝観していると、さらにうれしい情報がありました。
なんと、期間限定で夜のライトアップが行われているとのこと。
これはもう、行くしかありません。
昼に見てよかった場所は、夜にも見たくなる。
お寺だって、昼と夜では表情が変わります。
砺波のチューリップを楽しんだあと、夜ご飯には地元のお寿司をいただき、あらためて瑞龍寺へ向かいました。
そして夜の瑞龍寺。

これは、ひと言で言えば、圧巻でした。
昼間は端正で落ち着いた禅寺だった瑞龍寺が、夜になるとまったく別の顔を見せます。
闇の中に浮かび上がる伽藍。
緑、紫、橙の光に照らされ、建物の輪郭がゆっくりと変化していく。
灯りに導かれるように歩いていくと、こちらの足取りまで少し静かになります。

派手なだけのライトアップではありません。
むしろ、光によって闇の深さが際立つ感じです。
建物の重み。
木組みの美しさ。
夜の空気。
人の影。
そのすべてが合わさって、なんとも幽玄な世界が広がっていました。
チューリップ公園が「春の歓び」だとすれば、瑞龍寺のライトアップは「夜の祈り」。
昼と夜。
花と寺。
色の華やぎと、光の静けさ。
同じ富山で、まったく違う二つの美しさに出会えた一日でした。
以前の生活だったら、こういう旅程はなかなか組めなかったと思います。
東京で人に会い、帰り道を少し変え、砺波で花を見て、高岡で国宝寺院の夜に出会う。
そんな流れは、仕事中心の日々の中では、たぶん思いついても実行できなかったでしょう。
でも、引退して少し自由な時間ができた今、こういう出会い方ができるようになりました。
これは、なかなかありがたいことです。
時間ができたから旅をする、というより、
旅をすることで、時間の味わい方が変わってきたように感じます。
まっすぐ帰らない。
人のおすすめに乗ってみる。
見たいと思っていたものを、先延ばしにしない。
そして、その場に立って、自分の目で見る。
そんな小さな選択の積み重ねが、これからの暮らしを少しずつ豊かにしてくれるのかもしれません。
砺波の満開のチューリップ。
高岡・瑞龍寺の幻想的なライトアップ。
どちらも、本当に行ってよかった場所でした。
春の富山。
これは、かなりおすすめです。
「チューリップなんて、花でしょ?」と思っている方。
ええ、花です。
でも、あれだけ咲いていると、もはや花というより“春の大合唱”です。
そして瑞龍寺の夜。
こちらは、光と静けさの中に立つ、国宝建築の底力。

昼に笑って、夜に黙る。
そんな一日を味わえる旅でした。