舘ひろしさんの映画を二本続けて観て思ったこと
このところ、舘ひろしさん主演の映画を二本続けて観ました。
一本は『終わった人』。
もう一本は『免許返納!?』です。
どちらも、ひと言でいえばコメディタッチの映画です。
けれど、観終わったあとに残ったものは、ただの笑いではありませんでした。
「ああ、これは今の自分に近いな」
「これは他人事ではないな」
そんな感覚が、じわじわと残ったのです。
『終わった人』は、
定年を迎えた元エリート銀行員が、仕事を失ったあとの喪失感のなかで迷走していく物語です。

仕事一筋で生きてきた人ほど、肩書きがなくなったあとの空白は大きい。
朝起きても、行くべき場所がない。
誰かに必要とされていた感覚が、急に薄れていく。
その寂しさや戸惑いが、少しコミカルに、でもかなりリアルに描かれていました。
笑えるのだけれど、笑いながら胸の奥をチクッと刺される感じです。
こういう映画、ずるいですね。油断して観ていたら、心の靴ひもをほどかれます。
一方の『免許返納!?』は、
70歳の大物アクション俳優が、ある発言をきっかけに「免許を返納するらしい」と世間に誤解されてしまうところから始まるコメディです。

ところが、これも単なるドタバタではありませんでした。
免許返納というテーマは、年齢を重ねれば多くの人がいつか考えなければならないことです。
ただ、それは単に「運転するか、やめるか」だけの話ではないように思います。
自分で動けること。
行きたいところへ行けること。
まだ自分にはできる、と思えること。
その全部が、どこかでつながっている。
だからこそ、笑える話なのに、どこか切ない。
そして、切ないのに暗くならない。
舘ひろしさんという人の持つ軽やかさと格好よさが、そこをうまく包んでいるように感じました。
二本を続けて観て、いちばん強く思ったのは、
「いい歳の取り方って、何だろう」
ということでした。
若い頃のように、何でも力で押し切ることはできなくなります。
体力も変わります。
立場も変わります。
まわりとの関係も変わっていきます。
でも、それは「終わり」ということではない。
むしろ、そこから何を手放し、何を残し、何をもう一度楽しむのか。
それを自分で選び直す時期なのかもしれません。
おさぴー自身も、これまで靴屋として多くの方の足もとを見てきました。
歩くこと、出かけること、人に会うこと。
それらが人生の元気と深くつながっていることは、ずっと感じてきました。
だからこそ、今回の映画を観ながら、どうしても自分の今と重ねてしまったのです。
ここ最近、少し体調が万全でない日がありました。
そういうときは、ふだんなら笑って流せることまで、妙に深く考えてしまいます。
これから自分はどう生きたいのか。
何を楽しみにしていきたいのか。
何を無理せず、何をあきらめずに持っていたいのか。
そんなことを、二本の映画に問いかけられた気がしました。
今のおさぴーが思う「いい歳の取り方」は、たぶん、とても単純です。
まずは健康でいること。
そして、自分が本当にしたいことを、できる範囲で悔いなくやっていくこと。
大げさな成功よりも、気持ちよく歩ける日々を大切にすること。
派手な目標ではありません。
でも、人生後半には、こういう当たり前のことがいちばん効いてくるのかもしれません。
『終わった人』も『免許返納!?』も、コメディの顔をしています。
けれど、その奥には「人生の後半をどう生きるか」という、なかなか深い問いがありました。
笑いながら観られる。
でも、観終わったあとに少し自分のことを考えたくなる。
そんな映画でした。
おさぴーも、まだまだ「終わった人」ではありません。
かといって、若い頃と同じように走れるわけでもありません。
ならば、今の自分の足取りで、面白がりながら歩いていけばいい。
そんなふうに思わせてくれた二本でした。
気になる方は、よかったらご覧になってみてください。
笑いながら、思わぬところで自分のこれからと出会えるかもしれません。