今回の四国旅行では、大塚国際美術館や本場の土佐料理について書いてきました。
でも、実はもう二カ所。
「ここは、四国へ行くならぜひ立ち寄ってほしいなぁ」と思った場所がありました。
ひとつは、高知市にある 高知県立牧野植物園。
そしてもうひとつが、仁淀ブルーで知られる にこ淵 です。
どちらも、派手な観光地というよりは、静かに心の奥へ入ってくる場所でした。
旅の途中でふらっと立ち寄ったはずなのに、帰ってきてからも「あそこ、よかったなぁ」と思い出してしまう。
そういう場所って、ありますよね。
今回のこの二カ所は、まさにそんな場所でした。
地元の方に教えていただいた、牧野植物園
高知では、まず桂浜へ行きました。
太平洋を心ゆくまで眺めて、坂本龍馬さんにもごあいさつして、さて次はどこへ行こうか。
おさぴーは、けっこう「旅は行き当たりバッチリ」派です(笑)
もちろん事前に調べてはいきますが、現地へ行ったら、やはり地元の方に聞くのがいちばん。
観光案内所のおじさんに、
「このあと、どこかおすすめありますか?」
と伺ったところ、教えていただいたのが 高知県立牧野植物園 でした。
「牧野植物園」と聞いて、ピンとくる方も多いかもしれません。
そうです。
NHKの朝ドラ『らんまん』のモデルにもなった、牧野富太郎博士ゆかりの植物園です。
牧野富太郎博士は、高知が生んだ植物学者。
「日本の植物分類学の父」とも呼ばれている方です。
お名前はもちろん知っていました。
でも、その人生や業績について、深く知っていたわけではありません。
「植物園なら、少し歩いて、花や木を眺めて、気持ちよく過ごせるかな」
そんな軽い気持ちで向かったのです。
ところが。
これが、うれしい誤算でした。
ここは“植物を見る場所”ではなく、“植物と出会う場所”でした
牧野植物園に入ってまず感じたのは、ここが単なる植物園ではない、ということでした。
もちろん、たくさんの植物があります。
花も、木も、草もあります。
でも、それらがただ並べられているのではないのです。
園内を歩いていると、植物たちがそれぞれの居場所で、ちゃんと息をしているように感じられます。
人間が「見せるため」に置いたというより、植物が本来持っている姿を、できるだけ自然に近いかたちで感じられるように考えられている。
そんな印象を受けました。
小径を歩く。
木陰に入る。
ふと足元を見る。
見過ごしてしまいそうな小さな植物に目が留まる。

すると、今まで「草」とひとまとめにしていたものが、急にひとつの命として立ち上がってくるような気がするのです。
これは、なかなかすごい体験でした。
大げさに言えば、植物を見る目が少し変わる。
ただ「きれいだな」だけではなく、
「この植物は、ここでどう生きているのだろう」
「この葉っぱの形には、何か意味があるのかな」
「人間が知らないだけで、自然の世界はずいぶん奥深いな」
そんなことを考えながら歩くようになるのです。
おさぴーは靴の仕事を長くしてきました。
足も、靴も、ぱっと見ただけではわからないことがたくさんあります。
足の形、歩き方、骨格、筋肉の使い方。
そこにその人の暮らし方まで重なってくる。
植物も同じなのかもしれません。
一見、静かにそこにあるだけに見えても、そこには長い時間と環境との関係があり、それぞれの命の工夫がある。
牧野植物園を歩いていると、そんなことまで感じさせられました。
奇跡のように出会えた「ガンゼキラン」
今回、特に感動したのが ガンゼキラン です。

ガンゼキランは、とても貴重なランの一種です。
かつては各地で自然の中に見られた植物ですが、乱獲などの影響で、今ではなかなか見られなくなっているとのこと。
しかも、開花の時期も長くありません。およそ一週間ほど。
おさぴーが訪れたときは、ちょうどそのガンゼキランの自然群生が期間限定で公開されていた時でした。
しかも、案内してくださった方のお話では、
「この数年でいちばんの咲き方です」とのこと。
これはもう、旅の神さまがちょっとウインクしてくれたようなものです。

黄色の可憐な花が、斜面に群れて咲いている。
派手に自己主張するわけではありません。
でも、静かな存在感があります。
「ここに咲いているよ」
「見つけてくれてありがとう」
そんな声が聞こえてくるような花でした。
旅先でこういう偶然に出会うと、予定通りにいかない旅もいいものだなぁと思います。
いや、むしろ予定通りにいかないからこそ、旅は面白いのかもしれません。
三時間では足りなかった。もう一度再訪したい場所です
牧野植物園には三時間ほど滞在しました。
でも、三時間ではまったく足りませんでした。
次に行く予定があったので切り上げましたが、あとから思うと、実にもったいなかった。
園内はとても広く、歩くほどに表情が変わります。
植物の展示だけでなく、牧野富太郎博士の世界に触れられる展示もあり、植物に詳しい人はもちろん、そうでない人でも十分楽しめます。

「植物園でしょ?」と思って行くと、いい意味で裏切られます。
ここは、植物に詳しい人だけの場所ではありません。
自然が好きな人。
写真が好きな人。
静かに歩く時間が好きな人。
旅先で少し心を整えたい人。
そういう方には、かなりおすすめです。
おさぴーの「もう一度行きたいところリスト」に、しっかり登録されました。
もう一つの「にこ淵」は
でご紹介しますね。