おさぴーのシニアライフ実験室

無理せず、面白く。暮らしを愉しくする小さな実験記録。

手放したのに、離れていない|週1だけ店に立つ理由


私(おさぴー)は、気づけば50年近く靴の接客・販売の仕事をしてきました。

父が始めた靴屋を継いだ、いわゆる二代目。

父の時代は複数店舗を運営していましたが、私はそういう「増やす才能」はありませんでした。むしろ逆で、削ぎ落として、縮めて、整えていくほうが性に合っていた。

だからこの35年は、一店舗を大切に守りながら続けてきました。

 

シューフィッターになって見えたこと

ただ、守るだけじゃなく、私は昔から好奇心だけは旺盛でした。

日本で「シューフィッター」という制度が始まると聞いたとき、迷わず応募しました。

そこで足のことを学び始めて、まず驚いたんです。
当時の日本には「足を守る靴」――いわゆるコンフォートシューズが、ほとんど存在していなかった。

それなら自分が扱おう。ちゃんと学んで、ちゃんと揃えよう。
そう思って、ヨーロッパ、とくにドイツの健康靴へと舵を切りました。

 

学び続けた時間

ドイツのマイスターから教わるうちに、どんどん欲が出てきます。

「もっと知りたい」「どうすれば、もっと快適に履いてもらえる?」

上級(バチェラー)へ、そして最高位のマスターシューフィッターへ

階段を登るように学び続けました。

マスターの勉強は、正直、簡単じゃありませんでした。

日本に教えられる人がいない分野も多く、海外の先生を招いたり、解剖学の先生に教えを請うたり、まさに“学びの総力戦”でした。

そして資格を取って終わりではなく、そこからもずっと勉強は続きます。

「快足楽歩カンパニー おさだウイズ店」の代表兼店長として、長く現場に立ってきました。

 

 

「もう、そろそろいいかな?」と思った瞬間

そんな私の横で、ずっと支えてくれた山田さんが昨年、お店を卒業されました。
いまは自分のセカンドライフを、鮮やかに生きておられます。

その姿を見たころからでしょうか。

私の中にも、ふと、こんな気持ちが湧きました。

「……もう、そろそろいいかな?」

以前は、死ぬ直前まで現役で働くつもりでした。

でも、身体は元気でも、根気や集中力の“持久力”が昔ほど続かない。

シューフィッティングって、外から見ると簡単そうに見えるかもしれません。

でも実際は、神経を使います。気を張っていないとできない仕事です。

 

そしてもう一つ。

世の中の変化が、あまりにも速い。

その変化に合わせて、新しい航路を切り開き続けることが、ある時から少しだけ「気が重い」と感じるようになりました。

――老化、というより“正直な実感”ですね。

 

青木さんに託せた安心と、少しの葛藤

そんなタイミングで、長く私を支えてくれていた青木さんが「承継を受けます」と言ってくれました。

いやぁ……本当に嬉しかった。

 

お客さまから、ずっと言われていたんです。

「この店がなくなったら困る」
「私が会社勤めしている間は、絶対閉めないで」

そう言ってくださる方がたくさんいて、その声が胸に残っていました。

だから、店を次へつなげられることに、心底ほっとしたんです。

 

でも同時に、葛藤もありました。

変化の激しい時代に、小さくて盤石とは言えない店を託していいのか。

背負わせてしまうのではないか。

その迷いに、青木さんがまっすぐ答えてくれました。

「不安は正直あります。でも、私なりの発想でやっていきます。それでいいですか?」

その言葉を聞いて、「あ、この人なら大丈夫だ」と思えました。

こうして、承継を決めたのです。

 

週1だけ店に立つ理由

では、承継のあと

なぜ私は“週1くらい”お店に立つのか。

答えは、とてもシンプルです。

靴が好き。

そして、お客さまが好き。

お客さまと話す時間は、今でも私にとって和む時間であり、学びの時間です。

それに、長年積み重ねてきた経験と技術が、もし今も求められるなら――それは私の人生の糧にもなる。

「まだ役に立てるなら、もう少しだけ現場にいていいかな」

そんな気持ちです。

 

いまの距離感が、すごく気楽

もちろん、経営や運営は青木さんの領域です。

私はもう“舵を握る人”ではありません。

ただ、頼まれたときに、必要なところでお手伝いする――そんな立ち位置でいようと思っています。

 

そして、正直に言うと。

この距離感が、すごく気楽なんです。

責任の全部を背負わない。

でも、好きな現場には触れていられる。

大げさに言えば、“第二の現役”みたいなものかもしれません。

 

もしよかったら――

おさぴーが店にいる日に、ふらっと顔を出してください。

いつものように靴の話をしながら、これからの暮らしの話も、少しだけできたら嬉しいです。

 

長文をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
自分の気持ちを一度整理したくて、今日は少しだけ私的な話を書きました。
書きながら「こんなことまで書いていいのかな」と思う瞬間もありましたが、もしどこか一行でも、あなたの心に触れるところがあったらうれしいです。

 

次回は、

osapy-life.jp

です。

 

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